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終身雇用という相互依存

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政府は、景気が良くなったら給料を上げてねと言うけれど・・・。

日本人の給料が上がらないのは、賃上げより雇用死守を優先し、将来の業績悪化時に備えようとする終身雇用そのものが原因であり、労働市場の流動化なくして掛け声だけで賃上げは難しい。
Joe’s Labo : 日経プレミアPLUS VOL.13「給料がヤバい!」

これは城繁幸氏の持論であるが、いつもわかりやすく、かつ鋭く本質を突いていると思う。

業績が上がったら、一時金(賞与)を上げることは出来る。でも、給料というのは一度上げたら下げることは難しい。しかも定年まで何十年もその給料を払い続けなくてはいけない。一時期業績が良かったからと言って、企業がそう簡単に給料を上げられないのは、誰でも分かる当たり前のことだ。

日本の会社員は終身雇用で守られ、給料の額も不利益変更法理で守られている。しかも、定年は延長され、社員は高齢化に偏っていって、人件費総額は、何もしなければジワジワと増えていく。

そもそも、定年が徐々に延びていくのは、年金受給年齢が徐々に延びていっているからで、これは本来国がすべき社会保障を、企業に丸投げしていることに他ならない。

今までは当たり前だった終身雇用。結婚し、家族を作り、家を買い、退職後も生活に困らないようにする。子供の成長とともに年齢給や家族手当という名目で何もしなくても給料は上がる。

その代わり、会社は社員の人生を左右できる。会社がやって欲しい仕事をやってもらうし、行ってもらいたいところには行ってもらう。そのために単身赴任が必要であれば、住むところも用意するし、単身赴任手当も出しましょう。

社員は、会社に半ば自分の人生を明け渡してきた。将来の保障と引き換えに。

でも今は、その保障をすることができなくなってきた。というか、そういう家族の生活や将来の保障は、本来、会社がすべきことでは無かったのだ。社会保障は国がすべきことだ。

企業が仮に福祉のようなことを担っているとしても、それは商売上たまたまそういう立場にあるというだけの話である。儲からなければ当然のように企業は撤退するのだ。それが企業の健全な活動である。
そのような企業に福祉を担わせるのは、あまりに無責任ではないだろうか?
福祉を担うのは国である

その通りだと思う。

今までは、企業と社員は相互依存してきた。日本人らしい、一種の「甘えの構造」が終身雇用というものだった。

これからは、社員の側は、単身赴任で生活が苦しいから単身赴任手当を上げて下さいとか、子供の学費が必要だから家族手当を延長して下さいとか、そういうことを会社に要求するのは止めよう。それは、本来、会社があなたに与えるべきものでは無かったのだから。

その代わり企業の側も、社員個人が本来、自分で選択すべきである人生の大きなこと、する仕事や住む場所を、勝手に決める傲慢を止めよう。
企業は、決して社員の人生を買うのではない、能力を、労働を買うのだ。

現状は国ですら企業に依存している。定年を延長し、給料を上げてくれと。まるで逆方向だ。

これからは、国も、企業も、個人も、それぞれが相互依存を止めて、原点に帰って、それぞれが本来やるべきことは何だったのかを考えなおす必要があるのだと思う。

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