ものすごく速いペースの今年の内定出し
という記事によれば、今年の採用広報活動開始3月1日の3カ後、つまり6月1日時点で内定を獲得している学生は、全体の31.1%でしたが、昨年の採用広報活動開始の3カ後はなんと6.9%に過ぎなかったということです。
思った以上に、今年の内定出しはものすごく早いペースで進んでいるようです。「選考の後ろ倒しで8月から選考開始」っていったいどこの話だったんでしょう?
まあ、それはさておき、実態がそのように進んでいるということは、企業は例年以上に焦っているということの現れです。
つまり、選考開始が後ろ倒しされたら、実質的な採用活動期間が短縮される。そしたら採りたい学生は採れないから、「うちだけは早めに動こう」とどの企業も考えた結果です。
そして、「内定を出した学生には何としても逃げられたなくない」ということで、採用担当者はあの手この手を考えます。
以前から内定者を確保するための方法として、入社承諾書(または内定承諾書)を学生に出させるということは多く行われていました。冒頭の記事に書いてあった調査結果でも、59.3%の内定者が、そうした書類の提出を求められたと書いてあります。
私がいた会社でも、これは昔から行われていました。そして、それに関するトラブルはほとんどありませんでした。中には、「他社が選考中なのでその結果が出るまで待って欲しい」というような個別の相談はありましたが、全体としてはこのやり方が問題だというようなことはありませんでした。
ところが、今年は様子が違ってきました。
重みが無くなってきてしまった入社承諾書
思ったより早く内定をもらうことができました。でも、第一志望の企業の選考はまだ始まっていません。入社承諾書は2週間以内に提出しろと言われています。どうしたら良いでしょうか?
というようなお悩みを、今年は良く見ます。
それに対する回答としては、
入社承諾書には法的な拘束力はありません。後から辞退することはできますので、とりあえず入社承諾書は出しておきましょう。
という回答が多いようです。
こうした質問、そして回答は、企業の採用担当者も当然想定済みです。「入社承諾書を出しても辞退してくるというリスクは、今年は例年以上に多くなる。」採用担当者は、皆その危機感をもっています。
その危機感に対して企業がやり始めたことが、最近良くいわれる、「就活終われハラスメント」略して「オワハラ」です。
学生は入社承諾書を出すという重みを感じなくなった。というか、感じていたら今年の就活はできない。
企業は、学生がそう思っていることが分かっているので、入社承諾書をもらっても安心しない。
「学生をなんとしても縛り付けないと自分の成績に関わる。」
それが一部の企業の採用担当者を「オワハラ」に走らせている原因です。
結局、お互いホンネで接することがお互いのため
この状況の下で、内定をもらった学生はどう考えて行動していけば良いのでしょうか?
私は、やっぱり本当のことを言うことが最善だと思うのです。
あなたが、もし、「内定はもらったけれど、他社の選考結果を待ちたい。」という状況になったのであれば、それを正直に言いましょう。
「とりあえず期限までに入社承諾書を出しておけ。後で断れるから」ではなく、「受験中の他社の選考結果が◯月◯日に出るので、それまで入社承諾書の提出は待って頂けないでしょうか?」と正直に言ってみましょう。
あなたのことを本当に欲しいと思っている企業であれば、そしてあなたが正直に言っていることがわかれば、企業も交渉に乗ってくれると思います。
何故なら、あなたは入社承諾書の重みを理解して、うそをつかないようにしたいと思っていることが理解できるからです。例え遅くなっても間違いなく入社してもらえる可能性があることが分かるからです。
逆に、あなたのことをさほど欲しいと思っていない企業であれば、「◯月◯日までは待ちます。それまでに入社承諾書を提出頂けなければ内定を取り消します。」と言うかも知れません。
それならそれで良いではないですか。
つまり、あなたのことをどれだけ欲しいと考えているかが企業の回答で分かるのです。このことをあなたが企業を選ぶ判断基準の一つにすれば良いのです。
「とりあえず期限までに入社承諾書を出しておけ。後で断れるから」ということをあなたがやれば、企業は安心しませんので、最悪、「オワハラ」が始まるかも知れません。そうなるとお互い、嫌な思いをして無駄なエネルギーを消耗することになります。
本当のことを言うのが、結局はお互いのためだと私は思います。
それでも「オワハラ」に走るような企業だったら
これはもう、むしろ分かりやすいので、何のためらいもなくこちらから蹴りましょう。
明らかな「オワハラ」をするような採用担当者のいる企業は、きっと他のハラスメントも内在している企業です。止めておくことが懸命です。
これに限らず、報道というものは、一部の悪い部分をクローズアップするものです。そうではない、正直で善良な企業は世の中にたくさんあります。
冷静な目で、良い企業を見分けるようにしてください。
「オワハラ」については、こちらの記事もぜひご参考にしてください。