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入社承諾書(内定承諾書)と「オワハラ」の切っても切れない関係とは?

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オフィスのデスクとビジネスマン

経団連の指針によって就職活動のスケジュールが後ろ倒しになったというのは建前ばかりで、実際は早い時期からどんどん内定出しが進んでいます。

そこでネット上で最近良く聞かれるようになった言葉が、「オワハラ」です。内定者に対して企業が、「就活終われ!」と迫るハラスメント、略して「オワハラ」ですね。

当初私はこれを見て、「エグいことやる企業もいるもんだよなあ、困ったもんだ」と思っていました。

ところが、あるサイトでの学生の声に、オワハラの1種として、「入社承諾書を出させる」と書かれてあったのを見て、「えーー!?」と思いました。

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入社承諾書も「オワハラ」の一種なのか?

私は15年新卒採用をやってきましたが、内定者に入社承諾書を出してもらうのは、ずっと前から普通のことだと思ってやっていたからです。

そして、入社承諾書というものの重みも、ことあるごとに学生さんや学校などにお話したり、このブログでもこんな記事を書いたりしていました。

入社承諾書提出後に企業から連絡がないのですが?
多くの企業では内定通知書と同時に、「入社承諾書」もしくは「内定承諾書」といった様式を送ってきます。 もしあなたが、希望の企業から内定をもらったのでしたら、悩むことなく、入社承諾書を提出するでしょう。 今日のテーマは、入社承諾書を送った後、企

入社承諾書というのは企業との約束だから、それを破るのは社会人としていかがなものかということです。

もちろん、良く言われるように、入社承諾書に法的な拘束力はありません。でも、明らかに文書を交わしての約束ですから、入社承諾書提出後に辞退したら、約束を破ったことで損害を与えたとして、企業が学生を訴えるということもあり得ないことではありません。

実際は、訴えたとしても、その損害額を立証することは難しかったり、そこまでお金や手間をかけてまで一人の学生にこだわることが全体として得かどうかということになるので、まず企業から訴えられることはないでしょう。

ともあれ、企業としては、今までの努力やコストが無駄になりますし、これからも採用を続けなければいけなくなるので、一度内定を出した学生には何としても来てもらいたいという気持ちになります。

そこで、入社承諾書を出して、(法的な拘束力はないにせよ)

「これは社会人としての企業との約束なのだよ」

というプレッシャーを与えるわけです。

場合によっては、入社承諾書に保証人、つまり親御さんの署名を要求したりする場合もあります。これは、本人が入社したいと思っていても、親に反対される場合もあるからです。実際に過去にそういうケースがありました。本人は入社したいのに、親に反対されたので辞退しますと。

そういうことで企業が学生に出させる入社承諾書ですが、これは確かに学生にプレッシャーを与えることで内定辞退を防ぐという目的のための手段であるわけですから、オワハラの一種と捉えられても仕方ないのだな、と私も思うようになりました。

企業がオワハラまでしなくてはいけない本当の理由

逆に、企業が一度出した内定を取り消したらどうなるでしょう?

これは学生さんにはあまり知られていないかも知れませんが、基本的に

内定取り消しは法的に出来ない

のです。

内定は、まだ入社していないにしても、雇用契約と同じであると考えられているからです。ですから、内定取り消しは、法的には解雇と同じことになり、原則として単なる企業の都合で行うことは出来ないのです。

同じ内定でも、企業はそれを取り消すことは法的にできない。でも内定者の側からは、入社を断ることはいくらでも出来るのです。

つまり、

圧倒的に内定者の側が有利

なのです。

これは、労働者を守ることが第一義の労働法の基本によりますし、もっと根本的には、職業選択の自由が憲法で保証されているからです。

だから、内定を出した企業は必死になるのです。何としても内定者に逃げられないように。

かと言って私は、オワハラを擁護するつもりはありません。

いくら入社して欲しいと言っても、脅迫まがいの行為を紳士たる企業がするべきではありません。

この問題も、やはり新卒一括採用というやり方が、日本で末期になってきていることを証明する現象のひとつなのだろうなと私は思っています。

入社承諾をめぐっての企業と学生間のトラブルは当分続くでしょう。

でもこれに限らず、無理なやり方は結局は得にならないということを、いずれ企業の側も知るようになり、では本当はどうすれば良いのかが徐々に確立されていくはずと私は思います。

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