最近、どうも気になっている言葉の一つである。
非正規雇用というと、なんか、正しく雇用されていないみたいなイメージがしないだろうか。
一歩間違えば、違法であるかのような。
そういうイメージが先行するから、誰もが「非正規雇用は減らして正規雇用を増やすべき」というイメージでものを言いがちなのではないだろうか。
でも実際は、労働法の中には「正規社員」とか「非正規社員」などという言葉はないし、非正規な雇用が法的に問題であるということは全くない。
では、いつから何故、こんな言い方になったのだろうか? きっとまたマスコミが作った言葉に過ぎないんじゃないか?
と思ったら、厚労省でさえ、この言葉を使っていた。
なんと! ということで、そもそもの「正規」という言葉の意味まで遡ってみることにした。
せい‐き【正規】
正式の規則。また、それに基づいていること。「―の資格」
せいき【正規】の意味 – 国語辞書 – goo辞書
ふむ。ということはやっぱり「非正規雇用」は正式な規則に基づいていない社員ということになるのか? いや決してそんなことはない。短時間労働も派遣も、正式に法的な手続きに基づく雇用だ。
では、「正規」という言葉に、他の意味もあるのだろうか? と思ったら、こんなのがあった。
せいきひょうげん【正規表現】
コンピューターで文字列の検索や置換を行う時に用いられる表記法。通常の文字のほかに、メタキャラクターという特殊の意味をもつ記号を組み合わせることにより、特定の文字列のパターンを検索・抽出・置換することができる。
せいき【正規】の意味 – 国語辞書 – goo辞書
せいきぶんぷ【正規分布】
数学で、統計資料をいくつかの階級に分けたとき、その平均値の度数を中心に、正負の値の度数が同程度に広がる分布。グラフは正規曲線となる。ガウス分布。
せいき【正規】の意味 – 国語辞書 – goo辞書
これらを見ると、「正規」という言葉自体は、必ずしも「正しい」とか「正式な」という意味のみで使われるものではないと分かる。
では、冒頭の「正規雇用」や「非正規雇用」の「正規」はいったいどういう意味で誰が言い出したのだろうか?
私の意見としては、やっぱりイメージ的に誤解を招くので、「正規雇用」は「無期雇用」、「非正規雇用」は「有期雇用」とか「短時間勤務」とかの言い方に改めた方が良いのではないかと思うのだが、どうなのであろうか。