先日、ある合同企業説明会に行った時のことです。
それは小規模な合同企業説明会だったのですが、その中でも1社だけとても人気があって、多くの学生が説明を聞いている企業がありました。
私はその企業を知らなかったので、空き時間にその企業の情報を調べてみました。
その結果、その人気の理由がわかったのです。
初任給の額が高い企業には必ず理由がある。
大卒の初任給は、首都圏であれば、だいたい20万~21万円台が相場です。でも、その企業は、なんと30万円となっていました。
私はその中身を調べてみました。すると、「固定残業代75,000円を含む」と書いてありました。
75,000円といえば、月約50時間分くらいでしょうか。
つまり、毎月50時間は必ず残業をさせられるということと、「固定」残業代ですので、それ以上残業をしても追加の残業代は支払いませんよということです。
月50時間の残業があるのは、まだ良いとしても、問題は、「固定」の部分です。
「固定残業代」は違法の可能性が高い
その会社が固定残業代という制度を取っていても、もし50時間以上の残業が行われた場合は、その分は追加の残業代を支払わないといけません。
詳しく知りたい方は、下記のリンク先を読んでみてください。
合同企業説明会の段階であれば何を聞いても大丈夫ですので、このような企業には、
「固定残業代とのことですが、その時間以上の残業をしたらどうなるのですか?」
と聞いてみてください。
おそらく、「いや、うちは固定残業代ですから、残業時間に関係なく一定です」という回答が来ると思います。それは間違いなく、違法です。
このケースはかなり多いです。
多くの企業で、それが違法であることが認識されていないのです。確信犯であるなら言うまでもないですが、違法だという認識が無くやっている企業はかなり多いです。
でも、この程度の基礎的な法律知識もない企業は、ブラックの第一段階かも知れません。
固定残業代についてさらに詳しくは、こちらの記事に書きましたのでご覧ください。
「裁量労働制」にも注意
もう一つ、給与欄で注意しておくべきなのは、「裁量労働制」という記載がある場合です。
「裁量労働制」とは、実際にどれだけ働こうとも、「これだけ働いたとみなす」ということで、毎月一定額の給与が支払われる制度です。
しかも、上記の「固定残業代」と違って、今度はその時間分を超えた残業をしたとしても、残業代の追加支払いが必要ないという制度なのです。
これは、残業代を少しでも減らしたい企業にとっては、美味しい話です。
ただ、この「裁量労働制」は全ての社員に適用されるものではありません。
時間管理がなじまない研究部門や企画部門等の社員に限られ、導入の手続きも簡単ではありません。
また、この制度では、出退社の時間も社員の裁量に任されることが原則です。
毎日定時に出社することを強制しているのであれば、その時点で裁量労働制の主旨に反しています。
詳しく知りたい方は、下記のリンク先を読んでみてください。
それを単純に、「うちは裁量労働制ですから残業代はありません」と言い切っているような企業は、法律を知らないか、知っていて違法なことをしているブラック企業の可能性があります。
まとめ:給料の総額だけで判断しないように!
給料については、初任給の総額だけでなく、その中身を確認することが大事です。
良く見れば、この企業はどれだけ残業をさせようとしているのか、どれだけきちんと法律を守ろうとしている姿勢があるのか、それが見えてくるのです。
初任給の額が良いから!というだけで簡単に企業を選ぶようなことだけはしないでくださいね!
では、今日はこのへんで!