「うちは年俸制だから残業代が出ません」
「年俸制なので残業というものはありません」
というようなことを言う人、もしかしたら人事部の人がいるかも知れませんが、これは完全に誤りで違法です。
年俸制の企業も、そうでない企業でも、残業代はきちんと計算して出さなくてはいけません。
外資系の企業でも日本で雇われる限り、関係ありません。
では、何故こんな誤解が多くなっているのでしょうか?
サラリーマンの「年俸制」は、プロ野球選手の「年俸制」とは全く別もの
「年俸制」というと、一番耳にするのがプロ野球選手の「年俸制」だと思いますが、これは全く別ものです。
まず、プロ野球選手はサラリーマンと違い、球団と雇用関係ではありません。
プロ野球選手は個人事業主であり、球団との契約は請負契約です。
つまり、プロ野球選手は労働者ではないので、労働法の規制は受けません。
だから、残業という概念自体がないのです。
1年間いくら、という契約だけです。
それをサラリーマンの「年俸制」でも同じだと勝手に解釈している会社があるということです。
名前は同じでも全く違うものだと、まず理解してください。
サラリーマンの「年俸制」は毎月の給料の計算の仕方だけの問題
サラリーマンの「年俸制」は、
「あなたの1年間の給料の総額はいくらにします」
という取り決めのことです。
法律では給料は毎月1回以上支払わなければいけないことになっていますので、年俸制で決めた総額を12で割った金額を毎月もらえるということになります。
つまり、サラリーマンの「年俸制」は、毎月の給料の計算の仕方の一つに過ぎません。
残業代はその額に上乗せして、毎月きちんと計算された額が支払われる必要があります。
「年俸制」だから残業の概念がないとか、残業代がない、ということは全く根拠がありませんし、違法です。
そう言うと、
「うちは残業代は給料に含まれている」
と言う人もいるでしょう。
それは確かに可能ですが、それにはまた条件があります。
残業代を含めるならその時間数を明示する必要がある
ということです。
具体的には、毎月の給料の中に、「月何時間分の残業代を含むのか」が雇用契約書に明記されていて、労使間できちんと契約に合意がなされていることが条件となります。
そしてその場合、その時間数を超えた場合は、超えた分は別途支払う必要があります。
そこまでやった場合にはじめて、「うちは残業代は給料に含まれている」と言うことができます。
いかがでしょうか?
あなたの会社、もしくはあなたが入ろうとしている会社の「年俸制」は正しく運用されているでしょうか?
では、今日はこのへんで!