最近よく募集要項で見るのが、「固定残業代」です。
これは、毎月の給料の一部が「残業○時間分の残業手当に相当」として、その時間残業をしてもしなくても必ず支払われるという制度です。
企業によって表現方法がまちまちで、「固定残業代」としている場合もあれば、他の名前で「○手当(みなし残業代)」などとなっている場合もあります。
この「固定残業代」は、法的に正しく運用されていれば問題はないのですが、残念ながら、そうでもない企業があるのも事実です。
中には明らかな確信犯もあるのですが、法的な認識が足りないために、知らずに違法なことをしている企業もあったりします。
では、どのようなところをチェックすれば違法なことをしている企業かどうかわかるのでしょうか?
募集要項でチェックすべきこととしては、2つあります。
1.固定残業代の金額や時間数が明記されているか?
平成29年に厚労省から出された通達には、下記のように書かれています。
基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例えぱ、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認すること。
つまり、「固定残業代○円」などと、この部分が残業代なのだとはっきりわかるようにしていないといけないということです。
例えば、「うちは年俸制だから残業代も含まれているよ」というだけで、残業代に相当するのが月いくらなのかが書かれていないのはアウトということです。
また、法的には、上にあるように「時間数又は金額」となっていて、どちらかが書かれていれば良いのですが、働く側としては、金額だけではそれが残業何時間分に相当するのかがわかりません。(基本給から計算すれば一応はわかるのですが・・・)
そのため、リクナビなどに掲載されている募集要項を見ると、「(残業○時間分に相当)」と書かれていることが多いです。
ここまで書いてあれば安心ですね。
2.その時間を超えた場合追加で支払うことが明記されているか?
また、同指針には、次のようにも書かれています。
割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければならない。
「残業○時間分に相当」と書かれていて、その時間を超えた残業をした場合には、超えた分を追加で支払わないといけないということです。
これがきちんと行われていれば、「固定残業代」のやり方自体は違法ではないのですが、ここのところがきちんと行われていないケースが結構あるのです。
「うちは固定残業代だから○時間以上の残業代は出ませんよ」
と当然のように言われることもあります。
これはもちろん違法なのですが、その認識がない企業もまだまだあったりするので、注意が必要ということです。
もし明記がなかったら、企業に質問してみる
以上のように、固定残業代に相当する分の残業時間や残業代の金額や、その時間を超えた残業については追加の残業代を支払うことが募集要項に明記されていなかったら、その企業はアブナイということにはなるのですが、そう判断する前に、ダメ元で聞いてみてはどうでしょう?
「固定残業代とのことですが、これは残業何時間分に相当するのでしょうか?」
「その時間を超えた残業をした場合はどうなるのでしょうか?」
などです。
昨今の情勢ですから、まともな企業であれば、真摯に回答してくれるでしょうし、固定残業代を悪用して残業代をケチろうとしているブラック企業であれば、はぐらかした回答をしてくるでしょう。
少し前の時代であれば、そのようなことを気にしていると思われると応募者側として不利になるという考えもあったのですが、今は時代が違います。
コンプライアンス意識のあるホワイト企業だけが生き残れる時代になってきているのですから、あなたもちょっとの勇気を持って、正しいことをやっている企業を選ぶようにしませんか。
では、今日はこのへんで!