結論から言いますと、その理由とは、
日本は終身雇用だから
です。
なぜ、終身雇用と残業が関係あるのでしょうか?
企業の側に立って理由を考えてみよう
まず、残業が少ない企業ってどういう企業でしょうか? 考えてみましょう。
① 仕事がなくて暇な企業
② 仕事は多いが人も十分いる企業
③ 仕事は多いがすごい効率化をしていて少ない人でこなしている企業
のどれかでしょうね。
このうち、①は明らかにヤバイ。②はお金に余裕があって経費考える必要がない企業、もしくは経費考えてないので利益が出ていない企業、これもヤバイ。③は滅多にない超優秀な企業と言えるでしょう。
上の単純な例だけでわかるように、残業が少ない企業って、ヤバイか超優秀ってことですから、そうあるもんではないということなのです。
じゃあ大部分の普通の企業、そこそこ利益が出ている企業はどうしているのでしょうか?
仕事というのは、どうしても忙しいときと暇なときがあります。
忙しいときにはそれに応じて人を増やせば対応できるわけですが、じゃあ今度暇になったらその人をどうすればいいのか?
景気の波もありますので、今どんどん人を増やしてどんどん儲けられたとしても、来年、再来年も同じ市場の状況が続くかどうかはわからない。
たくさん雇ってしまった人が余ったら、どうすればいいのか?
辞めさせればいい?
じゃああなたも辞めさせられてもいいんですか?
という話になるのです。
解雇規制であなたは守られている
日本では正社員は定年までの雇用が保証されています。
「終身雇用」と言われるものです。
企業は、正社員として一度雇った人は、簡単に辞めさせることはできないのです。
ちょっと暇になったとかで簡単に辞めさせると、「解雇権の濫用」ということで違法になります。
だから、企業は簡単に正社員を雇うことはできないのです。
だって、簡単に辞めさせることができないのだから、雇うのにも慎重にならざるを得ないわけです。
暇になったら、仕事がないのに給料を払って雇い続けなくてはいけないからです。
(だから、派遣とか非正規社員を増やしたくなるのですが、これは本題と違うので別の機会にします)
ではどうするか?
必要最小限の人員にしておいて、忙しくなったらなんとかその人員で頑張って乗り切ってもらう。
ということが必要になります。
つまり、それが「残業」です。
以上のように、日本では、既存の社員に残業をしてもらうことで労働力の調整をして、結果として終身雇用を守っているのです。
だから、終身雇用をしている限り、残業はなくならない。これが日本から残業が決してなくならない理由です。
本当に残業をなくすなら解雇規制の緩和が必要
逆に考えれば、日本で本当に残業を無くそうと思ったら、
「暇になったら余った人をクビにできるようにする」
ことが必要になります。それができれば、忙しいときに仕事に応じて人を増やすことができるからです。
これを「解雇規制の緩和」と言います。
私個人としては、日本の労働環境でのいろいろな問題を根本的に解決するためには、いずれこれが必要になると考えています。
でもまあ、今の日本でこんな法案を出したら、
「首切り法案」
だとして、野党や労働団体が大反対するでしょうね。
あなた自身も、
「企業が暇になったらクビになるのでは、安心して働くことができない。」
と思いますよね?
それが大多数の思いだと思います。
だから、日本ではまだまだ、「終身雇用」の考え方が必要。
だから、残業はなくならない。
ということなんです。
あなたはどう思ったでしょうか?
では、今日はこのへんで!