ある学生さんの就職相談の中で、「業務委託と言われた」企業があったというので、私は、「間違いなくブラックだからやめときなさい」とアドバイスしました。
それは何故でしょうか?
そもそも「業務委託」とは何か?
業務委託とは、企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける働き方です。どんな仕事内容を、いくらで、どのように遂行・完了させるか等、仕事の内容ごとに契約を結んで働きます。
業務委託で働くときの注意点|エンジャパンの転職大辞典|エン転職
これを読んでもらうと、新卒で採用されるのに、「業務委託」はあり得ないということが分かると思います。
「業務委託」は会社に雇われるのではないのです。
新卒は何もかも未経験で、自分で仕事を遂行させることは出来ません。これから上司の指揮命令のもとに仕事を少しずつ覚えて行かなければいけない存在です。
「業務委託」には、上司と部下という概念そのものがありません。これだけでも、新卒に業務委託というのはあり得ないとわかります。
もっと問題なことがあります。
「業務委託」は不要になったら切られる
学生さんの中には、「一生できる仕事をしたい」「できれば定年まで勤めたい」という人が結構いますが、「業務委託」は案件ごとの契約です。
基本的にその案件が終われば契約終了です。つまりクビです。
もちろん、社員ではないので、「定年」などという概念はありません。
「業務委託」で募集をしているということは、つまり企業は長く雇う気はサラサラないと思ってください。
「業務委託」は残業代も賞与も退職金も何もない。
「業務委託」は、事業主間の自由契約であり、会社と従業員という雇用関係ではありません。
ですから、労働法の規制を受けません。
そうすると具体的にどうなるかと言うと、休日とか残業の概念がありません。どれだけ働こうとも、それは全てあなたの自己責任となります。
逆に言えば、「業務委託」にしようとするブラック企業の意図はここにあるのです。
実際は、部下としてこき使っているのに、いくら残業させようが休日に働かせようがお咎めなしだからです。
また、そんな企業ですから、当然賞与も退職金も出すはずがありません。
元々、賞与や退職金は、法律で出さなければいけないと決まっているものでもないですしね。
そして、ブラック企業が「業務委託」にするには、もう1つ目的があります。
「業務委託」なら社会保険料等を企業が負担する必要がない。
ということです。
皆さんはあまり認識がないかも知れませんが、正社員として雇用されると、企業は厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、労災保険料を定められた率で負担しなくてはいけません。
給与明細を見ると、自分の給料からこれらの保険料が引かれているので、自分だけが負担しているように感じますが、実は、企業もほぼ同じくらい負担しているのです。
ところが、「業務委託」にしておけば、何度も言うように雇用関係ではありませんので、企業がこれらを負担せずに済みます。
これも企業にとっては、とても美味しい話です。
まとめ:「業務委託」の企業は即、止めましょう。
以上のように、「業務委託」で契約すると、「社員」ではないのです。
個人事業主になるのであれば、企業と対等な「業務委託」があり得ますが、社会人1年生としてこれから「企業に入ろう」としているあなたにとっては、「業務委託」は全く行くべきところではないことを、基礎知識として知ってください。
そうでないと、とんでもないことになります。
では、今日はこのへんで!