学生が内定を辞退することは自由にできます。
そうであれば、企業の側も内定取り消しをするのではないか? 企業の都合で内定を取り消されることもあるんじゃないか? と心配する人がいるようです。
でも、この心配は基本的には不要です。
企業は、学生の内定を簡単に取り消すことはできないからです。
内定は承諾した時点で雇用契約と同じ効力を持つ
まず、企業が内定を出し、学生が入社を承諾した時点で、法律的には雇用契約が結ばれたと同じ扱いになります。
雇用契約は、民法において、こう定められています。
民法第627条「1.当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」。
なぜ内定辞退はOKで、企業からの内定取り消しはNGなのか? 人事&給料の謎【17】:PRESIDENT Online – プレジデント
学生がいつでも内定辞退が出来るのはこの法律によるものです。
よく、「内定辞退はいつまでにすればいいの?」という質問の答えとして、「入社日の2週間前までなら可能」と言われているのはこのためです。
(実際は、そんな直前になってから辞退されたら企業はたまったものではないので、企業に迷惑をかけないために辞退はできるだけ早めにしてほしいのですが、それはここでは本題ではないので置いておきます。)
さて、上の法律をよく見ると、「各当事者は」と書かれているので、「企業の側も同じように内定取り消しが出来るのではないか?」と思った人は鋭いです。
でも、その心配はいりません。実は、企業の側にはもう一つの縛りがあるのです。それは労働契約法です。
内定取り消しは、法的縛りにより企業にとっては非常に難しい
上に紹介したサイトの記事には、さらにこう書かれています。
今度は労働契約法の第16条 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」が適用され、社員の解雇と同じレベルの明確な理由が必要だというのです。
まだ入社していない内定者であっても、内定は雇用契約と同じであるとすれば、内定を取り消すことは解雇と同じであるということです。だから、企業は簡単に内定取り消しはできないのです。
「解雇も簡単にできるんじゃないの?」という人もいるかと思いますが、日本の法律では解雇は非常に難しいのです。一度正社員として雇ったら、定年までしっかり面倒みなくてはいけないという、終身雇用の精神が、現在の労働法には脈々と流れているからです。
一度採用したら、社員に能力が無かったり、多少会社の業績が悪かったからと言って、簡単に解雇することは許されないのです。
ですから、ましてまだ仕事を始めてすらいない学生が、内定を取り消されることは、通常ありえませんので、まずは安心してください。
ただ、絶対に大丈夫か?と言われると、あなたの側に何らかの問題が発生した場合は内定が取り消される場合もあります。長くなりますので、これについては別の記事に書いてありますので、興味があったら見てください。
では、きょうはこのへんで!