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上司と部下との微妙な「距離感」

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Pilots Working in an Aeroplane During a Commercial Flight

フランスの山中に墜落した旅客機の副操縦士に、いったい何が起こったのかはまだ謎に包まれているが、もう40年近く前に起きた、世界最大の犠牲者数とされている航空機事故がある。

1977年。カナリア諸島の空港で、KLMとパンナムの2機のジャンボジェット機が、なんと滑走路上で衝突、583人が亡くなった事故だ。

この事故は、濃霧の空港で起きた。管制塔からもコックピットからも、滑走路の全貌が良く見えない。その時のKLM機のコックピット内では、こんな会話が交わされていた。

KLM機関士:「まだ滑走路上にいるのでは?」
KLM機長:「何だって?」
KLM機関士:「まだパンナム機が滑走路上にいるのでは?」
KLM機長/副操縦士:(強い調子で)「大丈夫さ!」
テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故 – Wikipedia

せっかくの正しい指摘を機関士がしていたのに、機長と副操縦士は強い調子でそれを否定、機関士は口を閉ざした。

最終的な責任はもちろん、部下の指摘があったにも関わらず十分な安全確認を怠った機長にあるのだが、せっかくの指摘をした機関士の心の内はどうだったのだろうか?

私は2つのケースが考えられると思う。

一つは、権威のある機長に強く言われて、何も言えなくなってしまったということ。

もう一つは、「機長がそう言うのだから大丈夫なのだろう」と思ってしまったということだ。

つまり、これは上司と部下の人間関係の問題であって、上司を過度に恐れていても、上司を過度に信頼していても、起きてしまう可能性がある状況だということだ。

ここに人間関係、もっと言えば「距離感」というような非常に微妙で難しい問題があると私は思う。

このことは、この事故の後、航空会社でも重大なこととして取り上げられ、その後、CRM(コックピット・リソース・マネジメント)として、狭い操縦室内での人間関係の研究や研修として、世界最大の悲劇の教訓が現在に受け継がれている。

皆さんの職場でも同じような問題は起きていないだろうか?

特に人数の少ない職場では、上司と部下との「距離感」というのが、すごく全体のパフォーマンスに影響を与えると思うのだ。

ほんのちょっと言い過ぎことがきっかけで、言われた方がそれ以後口を閉ざしがちになったり。それは上司が言い過ぎた場合も、部下が言い過ぎた場合もあるだろう。

ほんのちょっとしたことで、コミュニケーションの微妙な力関係は崩れる。これって、すごく良くあることなのだけれど、ホントに難しいことだと感じるのである。

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