という記事の中で、「何故、不採用の理由を教えないのかについては、それだけでまた一つの記事が書けてしまう」と書きましたので、今日はそのことについて書きたいと思います。
まず、不採用の理由を教えない一番大きな理由は、
きちんとした不採用理由がない場合があるから
です。
では、その「きちんとした理由がない」というのは具体的にはどんなときなのかと言うと、例えば、同じくらいのレベルの受験者のうちどちらか片方を選ばなくてはいけないときに、最後はフィーリングや好みで選ぶような場合です。
採用も、結局は人が人を見て選ぶのですから、良し悪しではなく、そういうことは間違いなくあります。
「フィーリングや好み」というとちょっと語弊があるかも知れないのですが、より企業の社風に合いそうな人だとか、一緒に働いてみたいと思うかどうかという、感覚的な部分で選ぶというのは、どこでもやっていることですし、むしろ大事な視点です。
で、きちんとした理由が「ない場合がある」と、ちょっと回りくどい言い方をしたのは、きちんとした理由がある場合はもちろんある、むしろその方が多いですよ。ということを言いたかったからです。
では、きちんとした理由がある場合には言ってくれればいいじゃないかと思うかも知れませんが、人によって採用理由を教えたり教えなかったりすることをやると、余計な疑心暗鬼を生んで印象を悪くさせたり、個別対応をする事務的負担が多くなるからです。
だから企業としては、申し訳ないけれど、一律に不採用理由はお教えせず、「御縁がなかったということで、ご容赦ください」ということにするのです。
でも不採用理由を言ってあげたいこともある
これは、私自身の経験なのですが、通常は上に書いたように不採用理由は書かずに、定型的な不採用通知のメールを送って終わるのですが、こんなことがありました。
ある学生さんは、非常に志望度が高く、本人には何も悪いところはなく、むしろ気持ち的には採用したいと思える人だったのです。
ただ、本人がやりたいと言うことと、こちらがやってもらいたい仕事の内容が微妙に食い違っていました。やりたいことや志望動機が非常に明確な人だったので、そこのところがとても良くわかったのです。
私は、この人にはがっかりして欲しくない、決して悪くないので他で頑張って欲しいと個人的に思いました。
例外的に、不採用通知のメールに、不採用にした理由をはっきりと追記しました。正直に伝えることで、彼ならそれをプラスに捉えて今後の糧にしてくれると信じられたからです。
人事担当者も人ですし、採用は結局は人と人
ということです。会社のルールに従って、意に沿わないことを心を鬼にしてやっている人事担当者もいれば、こっそり何かをしてあげたくなることもある。
そこのところを分かりつつ、かつ、大人としての対応を出来るようになって頂ければと思います。