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「お金いらないから、残業させてくれ」をやってはいけない2つの理由

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最近、残業の問題がマスコミやネットでとても多く論じられているんですが、先日、こんな記事がありました。

投稿者はプログラマをしている人物。転職1ヶ月というが、仕事が終わらず、
「無能なのは自分のせいなので、タダ働きでいいから与えられた仕事を全うさせてください」
と訴えた。
「お金いらないから、残業させてくれ」――匿名ブログから考える、ただ「残業するな」と指示するだけでは変わらない | キャリコネニュース

これ、気持ちはとてもわかります。

最近は残業が多いとブラック企業と叩かれるので、どの企業もできるだけ残業を減らそうと必死です。その締め付けがきつくなったので、反動として冒頭のような言葉が従業員から出てきているのですね。

じつは、私が以前勤めていた会社でも同じようなことがありました。

人事部だった私は、開発部門にサービス残業が蔓延しているのを問題視して、若い開発担当者にヒアリングしてみました。

そのとき彼らは、

「自分に能力がないから遅れているので残業代はもらえない」

と言うのです。

真面目で責任感があり、真剣に仕事をしてくれている彼らには頭が下がる思いでしたが、これ、やっぱり会社としてはまずいことなのです。

それは、まず、

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勝手にやっていてもサービス残業であることには変わりないから

です。

よく、「自分が勝手にやってるんだから残業申請しなくても問題ないでしょ?」とか、会社の側からも「命令したのではなく、社員が勝手にやったのだから残業として認める必要はないだろう」ということが言われるのですが、これは間違いです。

私はこの疑問について直接労働基準監督署に聞いたことがあります。

そのとき、監督官はこう答えました。

「残業として認めなくていいですよ。その代わり、仕事の成果物は受け取らないでくださいね」

これ、もっともな理屈ですよね。

仕事の成果物を受け取ったら、仕事をしたことを会社が認めていることになります。

社員が勝手に残業したとしても、会社がそれを知っていながら黙認していたわけですから、残業として認める必要があります。当然残業代の支払いも必要です。

あなたが、「自分で勝手にやっているのだから」と言っても、そのことによって会社が違法行為をしている状態を作り出してしまうのです。

これが、勝手に残業をしてはいけない第1の理由です。

第2の理由は、

何かあったときにあなたが残業していた証拠がなくなるから

です。

あなたが残業代をもらわないつもりで仕事をしているということは、きっとタイムカードを押した後で仕事をしているのではないでしょうか?

つまり、実際の労働の実態が記録に反映されないように故意に工作をしているわけですね。

何もなければ、あなたが残業代をもらえないというだけで済むかも知れません。

でも、考えたくないことですが、もしあなたが働きすぎて過労死した場合、あなたが働きすぎていた証拠がないので、労働基準監督署が労災事故であったと認めることができず、遺族が会社に賠償請求することができなくなります。

もっとも、裁判になれば調査が入り、実際にはあなたが残した仕事の成果物から立証はされると思いますが、要は、あなたにとって非常に不利で危険な状況を作ることにもなるのですよ、ということです。

これが、勝手に残業をしてはいけない第2の理由です。

残業をしなくてはいけないのは決してあなたのせいではない

たとえ、原因があなたの能力不足だったとしても、能力の過不足は、課題に対しての相対的なことです。

今のあなたが発展途上で、今の目標に対してはまだ能力が足りなかったとしても、それは決してあなたの責任ではありません。

社員一人一人の現状の能力に応じて仕事を割り振るのは、マネジメントの責任です。

もし、自分の能力が足りないと自覚しているなら、むしろ定時で帰ることを心がけて、家で自分の専門分野の勉強をしましょう。

それは決して、労働ではありません。自分の将来のための、自分への投資の時間です。

これからの時代は、そのように社員の側も考え方を変えていく必要があると私は思います。

では、今日はこのへんで!

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