ある相談者の方から、
「これからの時代はどうなっていくと思いますか?」
というざっくりとした(笑)ご質問をいただきました。
その際にお答えしたことを、2019年も終わろうとしている時期になってきましたので、来年以後を展望する意味でも編集して記事にしてみたいと思います。
すでに始まっている終身雇用の終焉
今の社会的背景は、全体の人口減少、その中で少子化で高齢者の比率がさらに高くなることです。
まずはこれからの企業はどこも以前のような成長ありき路線は狙えません。
その対策として今何が始まっているかというと、経団連会長やトヨタ社長が発言したように、
「終身雇用はもうやってられない」
ということです。
正社員の終身雇用がなくなるとどうなるかというと、
今までのようにただ長くいるだけでは給料は上がっていかないということです。
成果に応じて処遇をする本当の成果主義、実力主義の時代になっていきます。
その第一歩として、ただいるだけで高い給料をもらっていた「働かないおじさん」たちの肩たたき、希望退職の募集が大手企業で既に始まっています。
従来はリストラといえば業績不振になってからやるものでしたが、今流行り始めているのは「黒字リストラ」。
つまり、まだ企業に体力があるうちに手厚い退職金などで早めに辞めてもらう。
そうやってこれからの時代に合わせた企業のスリム化をしていこうという動きです。
「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」に変わる
処遇が実力主義になっていくということは、雇用の考え方が抜本的に変わり、従来のメンバーシップ型(いわゆる総合職)からジョブ型(いわゆる専門職)に変わります。
今までの企業内では、ひとりひとりの業務範囲が明確ではなく、そのことで自分の仕事が今日は終わったと明確にならないことが長時間残業の原因の一つでもありました。
しかしこれからは、自分の業務範囲が明確に定められるので、残業も減るでしょう。
というか、今の日本の企業で残業を減らすにはこうした抜本的な転換が必要だと私は思っています。
さらにジョブ型雇用をつきつめていけば、「正社員」なんて雇い方も必要なく、プロジェクトごとに契約するみたいな、全員フリーランスで会社とは業務委託契約で働くみたいな感じも究極的にはなっていくかも知れません。
そうなったら、正社員も派遣も何もなくなりますね。
「解雇規制の緩和」も待ったなし
従来から必要だと言われていることとして、「解雇規制の緩和」があります。
ほんとは辞めさせたい中高年ダメ社員が多くなっているのに、法的に正社員が守られていて解雇できないので、これを緩和して金銭で解雇可能にするということです。
先に述べた、黒字リストラはこれを緩やかに始めたものとも言えるでしょう。
解雇規制の緩和がされれば、それとセットで定年も廃止されるでしょう。
定年がなくてもダメになったら解雇できるのですから。
逆に年取っても有能な社員は、年齢に関係なくいつまでも働いてもらえばいいのですから。
解雇規制の緩和は、労働団体や野党の反発が必至なので政府はまだ及び腰ですが、時間の問題だと思います。
今あらゆる問題の根底には既に時代に合わなくなっている終身雇用があるからです。
根本的に問題を解決するには解雇規制の緩和しかないと私は思っています。
「企業に属する」のではなく「企業を使う」時代に
今書いたようなことが現実となった時、働く側としてはどうなるかというと、もうどこの企業に属することで幸せになるという考え方ではなく、自分が力を持って、その力を活かすための手段として企業を使うということです。
自分のスキルや報酬を良くするための転職はさらに活発になるでしょう。
企業の側も従来のように社員に忠誠を求めるようなことでは人が寄り付かなくなるでしょう。
「正社員」という考え方は過去のものになる
正社員という考え方自体も自然と過去のものになっていくでしょう。
正規も非正規もありません。
派遣社員というものも古い考え方になっていくと思います。
派遣という制度は、社員ではないのにその会社の指揮命令に従ってメンバーシップ型で働いてもらうという、そもそも矛盾をはらんだ形態だと思いますので。
以上、思いつくままに今私が思っていることを書きましたが、わからないのはこのような変化がどれくらいの速さで浸透していくかです。
以上のように世の中がなるには、まだしばらくは時間がかかるとは思います。
でも2020年は、上に書いたことの変化の兆しは徐々に見られるようになってくるはずです。
では、今日はこのへんで!