という記事がありました。
人事担当者が内定辞退の通知を受けた時期について傾向を分析した結果、2015年卒は学生の<就活終了時期>と<辞退を伝える時期>に数ヶ月のずれがあることがわかりました。就活を終える学生は5~6月に多いにも関わらず、内定辞退のピークは7月、その後も10月まで辞退率は高いまま推移しています。
ということなのです。
確かに今年の就活は、スケジュールの変更で企業も大学も学生も、皆先行きが読めず不安な状況にあります。
内定をもらった後も就活を止めず、継続する学生は例年以上に多いと聞きます。
その気持ちは非常に良くわかるのですが、すでに入社する企業を決めていて、それ以外の企業は辞退することが決まっているのに、なかなかそれを連絡できないのですね。
この気持ちもわかります。最後まで可能性はキープしておきたい気持ちと、「断る」ということは言い出しにくい。まして、入社承諾書を既に出していたりする場合は、「何言われるかわからないから怖い。」ということもあるでしょう。
でも、これは、辞退すると決めた企業にはできるだけ早く連絡することを私はお勧めします。
これは、企業が困るからというだけではなく、あなたやあなたのお友達のためでもあるのです。
その理由をお話しましょう。
遅い時期の辞退は企業は非常に困ります。
企業にとって、新卒採用活動は、期間的にも費用的にも手間ひま的にも、非常に大きな比重を占める活動です。
年間の採用人数目標を決め、それを目標に選考をし、内定を出していくわけですが、特に今年のようにいつ目標を達成できるかわからないときには、早く目標を達成して採用活動を終結することが、企業にとって大きな課題です。
企業の側も、内定を出したとしても、内定辞退が発生することは想定しています。ですから、それを見越して多めに内定を出したりはするのですが、それも限度があります。多くの企業は、必要なギリギリの数しか内定を出していないはずです。
そして、「この人は内定を辞退しない」という確証を得るために、「入社承諾書」を出してもらったりしています。それでも、今年の状況としては、入社承諾書を出していても辞退する人が出ることも、まあ想定しています。
ただ、入社承諾書を出した後、ずっと辞退して来なければ、ましてやもう内定式をやるという10月になれば、「さすがにもう辞退して来ないだろう」と企業も安心します。ましてやもう入社式の準備をしようという3月になれば・・・。
その時期になって「実は・・・」と言って辞退の連絡が入った時の人事担当者の慌てぶり、落胆ぶりを、どうか想像してやってください。
私自身、15年人事をやっていましたが、毎年の入社式直前はドキドキです。「皆、ちゃんと来てくれるだろうか?」と。
新入社員が全員、元気な顔を見せてくれたときに、やっと、「ああ、これで今年の採用活動が終わった!」と一安心するんです。
辞退しないとあなたのお友達の機会を奪うことになります。
あなたが入社する気がないのに辞退しないでいると、その分採用の枠が無駄になります。
あなたのお友達でなくても、あなたのように就活をしている他の人がその企業に入りたいのに、その機会をあなたが辞退しないために奪うことになってしまいます。
「そんな他人のことは知ったことか」と思うかもしれませんが、あなたもどこかで同じことをされる可能性もあるということです。
これに限らず、人にしたことは巡り巡って自分に還ってくるのです。これが世の中の法則というものです。
あなたの学校の評判を落とす可能性もあります。
入社承諾後の辞退、ましてや10月や3月など、遅い時期の辞退は、上に書いたように企業にとっては大打撃です。
そういう目にあうと、いきおい「あの学校は学生にどういう指導をしてるんだ! あそこの学校は今後要注意だな!」ということにもなりかねません。
実際、入社承諾後に辞退した学生がご迷惑をおかけしたということで、就職課長氏がわざわざ謝りに見えられたこともありました。そのときのことはこの記事に書きました。
複数の内定を抱えたら、まず就職課に相談してください。「遅くなってどうしようもなくなってから就職課に相談しにくる。」ということを嘆いておられた先生もいらっしゃいました。
遅くなればなるほど言い出しにくくなります。
おどかすようなことばかり書いてしまいましたが、内定を辞退すること自体は悪いことではないのです。
入社承諾後の辞退は、企業からすれば、できればしないで欲しいことなのですが、それも法的には可能ですので、心をこめて事情を話せば、まともな企業ならそううるさくは言わないと思います。
ただ、あなたが言い出しにくいからと言って、ずるずる引き延ばすと、それもできなくなってしまいます。
ちょっとの勇気を出すことで、あなたは社会人としてすべきことを一つクリアできるのです。
そして、何一つ心残すことなく、すがすがしい気分で新しい世界への第一歩を踏み出すことができるのです。
どうか、内定辞退は、決まったら、できるだけ早くするようにしてください。