過去2回に分けて、「好きなことを仕事にしよう」と趣旨のことを書いてきたのですが、こんな記事がありました。
「好きなことを仕事にするのが幸せ」は大きな間違い | キャリアのことならキャリアパーク.
おっと、真っ向から私の記事に反論!と思えるタイトルですが、読んでみると決してそんなことはなく、むしろ私がこれから言おうと思っていたことに近いことが書いてあったのです。
「あなたの趣味、特技は何ですか?」と質問された際に、「野球」「サッカー」「音楽鑑賞」「読書」「お菓子づくり」など答えるかと思いますが、この趣味をそのまま仕事にしようとすると間違いを起こす、という事です。
自分達が好きなことはあくまでも、「読書」は「本を読む」事であり、「音楽鑑賞」は「音楽を鑑賞する」事にあります。
あくまでも、本を書く事でも音楽を創る事でもありません。生産者と消費者はまったく別物です。
なるほど。これはその通りですね。
いくら好きなことでも、それがそのまま仕事にならないことはこの例のように確かにあります。
では、自分が好きなことが仕事になるのか、ならないのかは、どう判断すればいいのでしょうか。
私は、それがINPUTなのか、OUTPUTなのかで判断すれば良いと思っています。INPUTであれば仕事になりません。仕事になるのはOUTPUTです。
上の例で言えば、「野球」は、それを見るだけならINPUTですから仕事になりません。でもプレイすることはそれを人に見せて楽しませることができればOUTPUTになります。だから仕事に出来ます。
プロ野球選手には簡単にはなれないでしょうが、難易度の議論は取り敢えず置いておきます。
毎年発表される学生さんの人気企業ランキングを見ると、安定志向故と思われる金融関係や商社を除けば、自動車メーカー、旅行会社、テーマパーク、化粧品メーカー、食品メーカーなどが目立ちます。
この志望理由がもしかしたら、「クルマに乗るのが好きだから」「旅行が好きだから」「食べるのが好きだから」という理由だとしたら、ちょっとどうかなと思えてしまいます。
クルマに乗るのも、旅行に行くのも、食べるのも、皆、INPUTだからです。
そういう企業を選ぶこと自体は悪くありません。ただ、選ぶのであれば、その企業に入って自分は何をするのか、自分は何をOUTPUTするのかを良く考えてください。
自動車メーカーに入ったら、自分は製造部門でクルマを作りたいのか、開発部門でクルマを設計したいのか、それとも営業部門でクルマを売る仕事をしたいのか、そこまで考えて初めて、企業に入社することで、OUTPUTの仕事をすることが出来ます。
そして当然、企業はどんな人を求めているかと言うと、何らかの価値をOUTPUTしてくれる人なのです。
学生の皆さんは、今まではINPUTすることが仕事でした。でもこれから就職して仕事に就くということは、何らかの価値をOUTPUTすることなのです。
自分の好きなことを仕事にしましょう。
好きなこと、それをどうOUTPUTするのかを考える。そのことこそが、仕事を選ぶということだとも言えると思います。
このシリーズの過去の記事: