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「内定」と「内々定」はどう違うのでしょうか?

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私は企業の採用担当を15年やって来ましたが、実は「内々定」というものは聞いたことがあったものの、うちの会社では出したことがありませんでした。

「この人を採用する」と決めたら、「内定」通知を出していました。正直、何故、「内々定」なんて変なものが必要なのかとすら思っていました。

でも、世の中一般にはこの2つ、違って使われているようですね。いったいどう違うんでしょうか?

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10月以前に出す場合は「内々定」?

まず、それを出す時期によって違うという説があります。

大学4年生の10月以前は”内々定”、10月以降が”内定”
内定と内々定の違い知ってる? | 新卒就活.com

10月以前に採用が決まったときには、「内々定」を出し、10月以後に決まったときには、「内定」ということです。

では、この「10月」というのはどこから来ているかというと、これは法律で決まっているわけではなく、経団連の指針によるものです。

4.採用内定日の遵守
正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降とする。
経団連:採用選考に関する指針 (2013-09-13)

各企業が10月1日に内定式を行って、そこで内定者を一同に集め、「内定」通知書を授与する儀式を行うのは、これによるものなのです。

つまり、この定義によるものであれば、経団連に属していない中小企業は、10月1日以前に「内定」を出しても全く問題ないということです。

「内々定」は企業の都合のために作られた仕組み?

では、法律的にはどうなのでしょうか?

『内々定』とは、『労働契約が締結される以前の段階』を指し、労働契約による拘束関係は発生しません。
他方、『内定』とは、採用内定通知書等に記載された取消事由(たとえば3月に大学を卒業できない場合)が発生した場合、企業により労働契約を解約できる権利が認められた『労働契約』を意味します。
よって、両者は『労働契約』を締結しているか否かという点で異なっており、契約関係に基づく拘束力の有無が異なります」
就職活動でもらう「内々定」と「内定」 法的な違いはどこにあるか?|弁護士ドットコムニュース

という弁護士の見解です。

「内々定」段階ではまだ契約していないのです。ということは、企業は都合が悪くなったら、「内々定」は取り消すことができるということになります。

つまり、「内々定」とは、「約束することにしたよ」ということを言ったに過ぎず、まだ約束はしていないので、「あ、やっぱりやめた」ということが可能だということです。

そう考えると、「内々定」って、これ、企業の都合のために作られた仕組みじゃないですか?

10月1日までは正式な「内定」が出せないからというのは表向きで、実は、取り敢えず良さそうな学生には「内々定」を出して引っ張っておいて、10月1日の時点で再度、正式に採用するかどうかを決めればいいや。と。。。

学生の側にすれば、ですから「内々定」をもらった段階では安心できないということになります。早く正式な「内定」が欲しい。でも、企業からは「経団連の指針により10月1日までは内定は出せません」と言われる。

ということが理屈の上ではできるということになります。

失われてきた「内定」と「内々定」の区別

とはいうものの、今年は採用スケジュールが変更になり、どの企業も8月以後の「内定辞退」の対策に必死で、内定者にいかに逃げられないかをあの手この手で尽くしていますので、内定者を不安にさせないようにしているはずです。

そうなると、「内定」と「内々定」はその意味が、かなり曖昧になってきています。

今年は「オワハラ」(就活終われハラスメント)が話題になっていますが、10月前の「内々定」の状態で「オワハラ」をするような企業は、もはや「内々定」という言葉を使う意味を完全に見失っているので、この点でもダメ企業ですね。

今後は、私のいた会社のように、「内々定」ではなく、いきなり「内定」をいつの時期にでも出すという企業も多くなってきているのではないでしょうか。

それは企業の側の「あなたを絶対に採用します!」という強い意思の現れと捉えて良いでしょう。

少なくともこれからは、「内々定は取り消せる」というような安易な捉え方しかしていない企業は、どんどん学生さんからも見透かされて淘汰されていうくのではないかと思います。

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